助成金2019年度実績

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若手芸術家支援助成 
クリエイティブ・チルドレン・フェローシップ

【総評】

 本助成は、横浜から世界に芸術文化を発信する次世代のアーティストを育成し、そのキャリアアップを支援するための助成制度として2016年度より始まり、今回で4回目の募集となる。

 応募状況については、今年度応募件数は51件と、昨年度と同数の申請が寄せられた。
 所在地別分布でみると、横浜市27件(53%)、東京都17件、横浜市を除く神奈川県5件、その他地域2件となった。昨年度応募における横浜市在住者41%(21件)と比べて、比重が増加した。年齢分布は30代31件(61%)、20代19件(37%)、10代1件となり、昨年度応募における年齢分布とはおおよそ変動はみられなかった。

 審査会は、4名のメンバーで構成した。選考にあたっては、下記4つの選考のポイントを審査基準にして、書類審査と面談審査を行い、審査会を開催した。その結果、採択者は7名で、採択率は13.7%(2018年度は9名、17.6%)と、昨年度以上に厳しい審査となった。

選考のポイント
①発信力:横浜から発信され、横浜市内外への影響が期待されること
②将来性:自身の芸術を広げる・深める活動であり、今後国内外での活躍や発展が期待されること
③独創性:表現手法や形式および形態、またテーマやコンセプトに優れた発想や独自性を有し、新たな芸術創造が期待されること
④実現性:計画および資金使途が明確であり、活動規模や計画進行が妥当であること

 今回の審査にあたって、審査員からは次のような講評が寄せられた。
 採択者にかけては、総じてアーティストのこれまでの実績と申請内容および活動のビジョンに明確な一貫性が感じられた。
 また、結果として美術・舞台芸術ともにリサーチおよびリサーチを経た作品制作に取り組む申請が選出される傾向がみられた。審査会では、リサーチ自身にかけての手法や姿勢のあり方についても議論がなされ、例えば歴史や文化と向き合うことをはじめ、どのような意識で、また手法の具体性を持って取り組まれるのか、といった点が精査された。
 そして、今回は昨年と異なり満額での採択がない結果となったが、これは昨年にも増して素晴らしい申請が拮抗していた結果でもある。また、今回惜しくも採択とならなかった方も十分に評価される点や可能性を期待される点があった証左であり、今後とも継続して応募を検討していただきたい。

 

【新規採択】(氏名:50音順)

アーティスト 神里 雄大 (カミサト ユウダイ)※継続
交付金額 800,000円
プロフィール 作家、舞台演出家。1982年ペルー生まれ。世界各地を訪ね歩き、出会った人々から聞いた話を元に作品を構成するという執筆スタイルを採用している。2006年「しっぽをつかまれた欲望」(作:パブロ=ピカソ)で利賀演出家コンクール最優秀演出家賞受賞。2018年「バルパライソの長い坂をくだる話」で第62回岸田國士戯曲賞受賞。ヨーロッパやオーストラリアなど海外公演多数。世界各地で戯曲が上演されている。2016年〜2017年まで文化庁新進芸術家海外研修制度研修員としてアルゼンチン・ブエノスアイレスに滞在した。
  玄 宇民(ゲン ウミン)※継続
交付金額 800,000円
プロフィール アーティスト。東京生まれ。生まれた地を離れた人々のありようと移動の記憶、マイグレーションをテーマに映像作品を制作。近作は戦前の日本に暮らした韓国人女性飛行士の足取りを俳優と共にたどる『未完の旅路への旅』(2017)、香港の離島、韓国の済州島を舞台にした『逃島記(とうとうき)』(2019〜)など。2016年以降ソウル独立映画祭(韓国)、Taiwan International Video Art Exhibition(台湾)、ディアスポラ映画祭(韓国)で作品上映。東京大学文学部美学芸術学専修卒業。東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻博士後期課程修了。
アーティスト 高山 玲子(タカヤマ レイコ)
交付金額 400,000円
プロフィール 美術家・俳優・体メンテナンス体操講師。京都府出身。俳優として数多くの舞台、映像、パフォーマンス作品に出演する。また同時に映像作品、各種メディアを用いたパフォーミングアーツ作品の制作を行う。近年では、境界線(演者/観客・あなた/わたし・あの世/この世)に注視し、これらの見えないラインを、可視化・表象することで起こりうる認識のズレなど、”人の数だけ答えが違うことをみんなで面白がれること”を主軸とした制作活動を行なう。
アーティスト 額田 大志 (ヌカタ マサシ)
交付金額 800,000円
プロフィール 作曲家・演出家。1992年東京都出身。東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科卒業。2013年に8人組バンド・東京塩麹を結成。ブレイクビーツとミニマルミュージックを軸としたサウンドで、これまでに2枚のアルバムをリリース。2018年にFUJI ROCK FESTIVALへ出演。また2016年に演劇カンパニー・ヌトミックを結成。スコアのように書かれた上演台本や、音楽的とも評されるセリフ回しを特徴とする。クリエイションの根幹で音楽と演劇を接続し、新たな観客/作品を生み出すことを目標に活動を続けている。
アーティスト 布施 琳太郎 (フセ リンタロウ)※継続
交付金額 850,000円
プロフィール 美術家。1994年生まれ。2017年東京藝術大学美術学部絵画科(油画専攻)卒業。現在は同大学院 後期博士課程 映像研究科(映像メディア学)に在籍。壁画/絵画とインスタレーションの制作をはじめとして、同世代の制作者を広く集めて編纂する展覧会企画や批評などの活動を行っている。主な展覧会企画に「iphone mural(iPhoneの洞窟壁画)」(2016)、「新しい孤独」(2017)、「ソラリスの酒場」(2018)、「孤独の地図」(2018)など。他、参加グループ展多数。「第16回美術手帖芸術評論募集」に≪新しい孤独≫で入選。【継続採択】(氏名:50音順)
アーティスト 本間 メイ(ホンマ メイ)
交付金額 800,000円
プロフィール アーティスト。1985年東京都生まれ。2011年チェルシー芸術大学大学院ファインアーツ科修了。Back and Forth Collectiveメンバー。インドネシアと日本の歴史的関係のリサーチを基点に、社会・政治的な問題や多国間における関係性を考察する映像作品やインスタレーションを発表。近年は見過ごされがちな女性に関する歴史を主に扱う。主なグループ展に2018年「つぎはぎの“言葉”(字 ことば kata eweawea)」トーキョーアーツアンドスペース本郷、TERATOTERA祭り2018など。
アーティスト 山形 一生 (ヤマガタ イッセイ)
交付金額 400,000円
プロフィール 美術家。東京藝術大学大学院美術研究科絵画修了。インターネット以降における美術、および画像流通とその政治性についてを主題に制作と研究を行う。それらと関連した論考として「水色のぷにぷに – ポストインターネットアート」(Massage, 2019- )、「キャラクターの同一化と引き剥がし」(Vindr vol.6, 2018)など。また、主な展示として「MASAMUNE」website, 2018、「Surfin’」情報非公開, 2017など。主な受賞として2018年に「映像作家100 – NEWAWARDS」にて大賞、2016年「21th Campus genius award」にて谷口暁彦評価員賞など。

クリエイティブ・インクルージョン活動助成

【総評】

 本助成制度は、平成28年度から数えて4回目の募集である。今年度から「テーマ申請」を無くし、クリエイター等が自由な提案ができる自由申請のみで募集を実施した。昨年度までの実績を見て、クリエイターが持つ独自の視点が深く、広いほど、社会に出る影響は大きく、社会と人の関係性(社会包摂)に優れた問いをもたらすことが分かった。今回の審査結果はその考え方をさらに前進させるものとなった。

本助成制度の審査項目は、要項で以下をあげている。
①先駆性:芸術や取組みとして先駆けた活動であるもの。
②弾力性:思考や行動などが、環境や状況の変化に応じて柔軟に対応できるもの。
③持続性:自らの持続可能性と社会の持続可能性が繋がり、継続していける活動であるもの。
④多様性:都市の多様性を理解した活動であるもの。
⑤実現性:企画、体制、場所の確保、予算、スケジュールの妥当性と進行管理能力があるもの
⑥影響力:将来的に社会へのインパクトを与える期待がもてるもの

26件の応募があった。うち採択されたものは4件で、新規採択2件、継続採択2件となった。
採択されたものは、創造都市施策やクリエイティブ・インクルージョンの取組みの趣旨をよく理解し、芸術と社会を深く問うものとして期待できるものである。

【新規採択事業】(事業名:50音順)

申請団体名(代表) アートマネジメントオフィス アホイ!(申請代表:塚田 信郎)
事業名 アート・クリエィティブによる病院内コミュニケーション増進プロジェクト
交付金額 1,100,000円
内容 および講評

アートマネジメントを行う塚田氏が、横浜市内の病院で、入院中の子ども達やその家族などを対象に、アーティスト・クリエイターと協働しアートプログラムを実施する。その体験を通して病院内外のコミュニケーションを活性化させ、病院をより過ごしやすい空間に変え、人々を明るく元気にするプロジェクト。対象の病院と信頼関係を構築し、このプロジェクトが持続的に発展していき、外出せずともアートを楽しめる環境づくりとなり、またアートがもたらす個人やコミュニケーションへの変化を観察し、証左することを期待している。

申請団体名(代表) 竹本 真紀
事業名 寿町で子どもたちと山車まつりをしたいっ
交付金額 1,250,000円
内容 および講評 美術家の竹本氏が、寿町で子どもや地域の人々と一緒に新たな祭りをつくるアートプロジェクト。保育所、学童や近隣の小学校の子どもたちと山車をつくるワークショップを行い、寿町内やその周辺の地域で活動する団体との関わりも生み出す。準備から成果発表までが一つの連続したアートプロジェクトとなっており、この作品体験を通して都市における新しい共同性の在り方や価値観が社会と共有されることを期待している。

【継続採択事業】(事業名:50音順)

申請団体名(代表) 渡辺 篤
事業名 修復のモニュメント(仮)
交付金額 800,000円
内容 および講評

現代美術家の渡辺氏の提案で継続2年目。昨年度は、ひきこもり当事者・経験者から部屋の写真を募集し、インスタレーションの展示と写真集の出版を行った。社会から孤立した人と接続し、その存在をなきものにしない表現活動を行う事で、これまで社会に対して閉じられ語られてこなかったことを語るきっかけとなっていた。
2年目となる今回の申請は、“開かれた対話”、“再構築と修復”の概念を取り込んだ対面型制作を行う。当事者・経験者と共に創作し展示することで、「声なき声」となっている当事者の視点を社会に発信していく。昨年度に引き続き、当事者にしかできない表現やプロセスを高く評価した。昨年度多くのメディアに取り上げられたことは社会の関心の高さを表しており、引き続き社会の実状をアーティストの目を通して顕在化させていくことを期待する。

申請団体名(代表) あしおとでつながろう!プロジェクト(申請代表:おどるなつこ)
事業名 広がれ!メッセンジャー事業
交付金額 500,000円
内容 および講評 おどるなつこ氏は、障がいの有無に関わらず子どもから大人まで参加できるタップダンス「あしおとの輪」のプログラムを行っている。今回の提案で継続3年目。1年目は横浜各地でダンスを行うことで活動を広げ、2年目は過去活動に参加してきた人が、障がいの有無に関わらずダンスの楽しさを伝える側になる「メッセンジャー」の取組みを行い、新しい関係構築を始めた。
3年目は、「メッセンジャー」が全国を旅する。各地で芸術文化と社会包摂の関係深める活動が行われており、それらの拠点と協働することで価値観や手法を共有しつつ、他地域に「あしおとの輪」を広げていく。また、そこでの経験を横浜に持ち帰り伝えることで、新たな地域間のネットワークを構築する。
1年目、2年目と着実に活動を広げ深めていく中で、さらに新しい視点をもって取り組むことを評価し、より多くの人が障がいの有無を越えて交流することを期待する。

ヨコハマ創造産業振興助成 新商品・サービス開発部門

【総評】

今年度が初となる本助成制度。これは、クリエイター、企業、大学等が行う革新的、創造的な取組を支援し、創造産業へ積極的に行動する街・横浜を発信していくものである。
4
件の応募があり、うち採択されたものは3件であった。採択事業は、企業や大学とクリエイターが組んだ”ものづくり”の取組みであり、企業発、クリエイター発、中間支援組織発と三者三様であった。

【新規採択事業】(事業名:50音順)

申請団体名(代表) 一般社団法人技術発想融合協会(代表:伊東祥次)
事業名 texi yokohamaプロジェクトの海外展示会出展事業
交付金額 1,500,000円
内容 

【内容】
『texi yokohama』は、横浜市内の中小企業の高い技術力(technic)とクリエーターのアイデア(idea)を掛け合わせた、横浜市の地域ブランド。町工場=中小企業のBtoC(エンドユーザー)向けの商品の開発、製造、販売を目的としている。今回、これまで開発してきた商品をアンビエンテ(2020年2月フランクフルト開催)へ出展し、特設WEBを開設、海外への販路拡大を目指す。

申請団体名(代表) 有限会社スタジオニブロール(代表:矢内原充志)
事業名 HOSPITILE(ホスピタイル)プロジェクト
医療×衣料が生むイノベーション。超消臭・抗菌繊維商品の開発。
交付金額 1,000,000円
内容 

【内容】
従来の医学は、病気や症状への対処(治療)を目指していたが、医療や健康に関する情報を扱う主体が一般の人々に急速に移りつつある今、病気に至る以前の生活者にコミュニケ―ションを図る活動の重要性が増している。そこで本プロジェクトは、「医療」と「衣料」を組み合わせ生活の質を上げるための繊維プロダクトを開発・発信をし、主に未病の人々にヘルスケアの概念を伝えることを目的とする。今回、ファッションデザイナーが、横浜市立大学医学部等と連携し、健康的な質の高いライフスタイルを後押しする顧客目線の高品質な商品を開発し、手に取りやすい価格で販売する。消臭タオルの商品からスタートし、抗菌繊維を開発する。

申請団体名(代表) Yokohama Makers Village(代表:藤澤秀行)
事業名 DESIGNART TOKYO 2019出展を通じた YMVの国内プロモーション展開
交付金額 1,500,000円
内容 

【内容】
Yokohama Makers Villageは、金属の素材にこだわり金属加工の技術力を示すとともに、デザイナーとの協業による金属製品のデザインの可能性を示しながら、金属のソリューションサービスを提供している任意団体。横浜市の中小企業の技術力を国内外に訴求し、付加価値の高い製品を製作・販売する中で、売上の増加及び、それに連動した本業の新規顧客の開拓、ビジネスチャンスの拡大を目標としている。今回、DESIGNART TOKYO 2019(10月東京開催)において、ミラノデザインウィーク2017-2019に出品した全作品の展示、セールス、トークイベント、交流会等を行う。

 


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