2023年11月27日から2024年1月4日にかけて開催された横浜都心臨海部冬のイルミネーションイベント「夜にあらわれる光の横浜<ヨルノヨ2023>」。
ヨルノヨ2023期間中、12月8日から17日の間に子どもも大人も楽しめる夜をあそぶアートイベント「ヨルノヨ・アートプログラム<水の町プロムナード>」が行われました。
<水の町プロムナード>では水町通りを中心に横浜ならではの雰囲気が味わえるまちなかの建物、広場、通りを舞台に、美術、アニメーション、音楽、ダンスのプログラムを展開。今回のコラムでは、光あふれる冬の夜に港町の歴史と文化に触れながら“あるき・あそび・かんじる”ことができた特別な10日間の様子をレポートします。
大人も子どもも楽しめる、あそび場アートインスタレーション
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インスタレーション作家の原倫太郎と画家の原游からなるアーティスト・ユニット“原倫太郎+原游”による、プレイグラウンド型アートインスタレーション『ヨルは子どもでみなハシャぐ』(12月8日~10日実施)。
遊戯をテーマにした大型作品を制作している二人ならではの、横浜をテーマにしたプレイグラウンド型のアートインスタレーションが象の鼻パークに3日間限定で出現しました。
象の形の巨大な双六やウォータービレッジ、不思議な卓球台やバスケットゴールが象の鼻パークに並び、夜にはブラックライト等光の演出も加わり、昼夜で異なる雰囲気を演出。
9日と10日には同会場で親子で楽しめるDJイベント「まちかどミルクホール」も開催され、会場がさらに賑やかに。小学生以下の子どもと親を中心に、三世代の家族や大人のグループ、横浜在住の人から外国人観光客まで幅広い方々が来場し、『ヨルは子どもでみなハシャぐ』のタイトル通り大勢の来場者が楽しみながらハシャぐ姿が見られました。
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夜をひそやかに飾る、心和むアニメーション
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池亜佐美、小光、西野朝来3名の作家が制作したアニメーション作品を街のいたるところに展示した「ウィンドウ・ギャラリー」(12月8日~17日実施)。水町通りに面したビルの窓やショーウィンドウを心和むアニメーション作品7点がひそやかに飾りました。
見慣れた景色に作品があらわれたことに驚く様子や、通りすがりに親子で鑑賞を楽しむ様子、作品を探しながら水町通りを歩き、まちなかでアートに出会うのを楽しむ様子が見られました。
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蘇る1930年の薫り「IMPERIAL APARTMENT GALLERY 1930」
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1930年に外国人用アパートメントとして建設された水町通りのインペリアルビル。「IMPERIAL APARTMENT GALLERY 1930」ではインペリアルビル1階のギャラリーを、初代ビルオーナーが営んでいたシャツの仕立て屋を想起させる空間に演出しました(12月8日・9日実施)。
オーナーやビルを愛する人の協力のもと1930年代のスーツや革靴、靴磨き、シャツ、建築を描いたイラスト等が並ぶ空間と合わせて、ビル内店舗も一部見る事ができ、歴史薫るビル全体を楽しめる2日間でした。
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身近な通りの奥深い歴史
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“水町通り”を知ることで、横浜の夜のまち歩きをもっと楽しむためのトークイベント「獅子文六と大佛次郎の散歩した水町通りの歴史と文化」(12月13日実施)。
通りのシンボルのひとつである横浜マリンタワーを会場に、横浜開港資料館、神奈川近代文学館、大佛次郎記念館の専門家がそれぞれの視点で水町通り周辺の歴史・文化を紹介しました。
横浜出身の大佛次郎と獅子文六の活動や作品内の“横浜”を通じて、まちの魅力を再発見する事が出来たと好評を頂きました。
横浜の歴史の生き証人たまくすの木のもとで、一夜限りのパフォーマンス
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「架空の島の民謡」をコンセプトに、ガムランやスティールパンが響き合うエキゾチックなサウンドと現代的な影絵が融合した唯一無二の表現をおこなう「滞空時間」によるパフォーマンス、「滞空時間 meets たまくす」(12月16日実施)。
文化往来の地・港町横浜の歴史の生き証人とも比喩される横浜開港資料館中庭”たまくすの木”のもと神秘的な音が響きわたり、幻想的な影絵が空間を包みました。
客層は幅広く、親子ペア券も多く出て、大人だけでなく子どもが楽しむ様子も印象的でした。
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ダンス×ボルダリング 太めパフォーマンス『翼をくださいな』
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福岡を拠点に活動するコンテンポラリーダンスカンパニー「太めパフォーマンス」による、ボルダリングジムでの特別なパフォーマンス(12月16日・17日実施)。
チャーミングな表現と、ジムの構造を最大限に活かしたユニークかつダイナミックな演出が好評で、ジムの窓から覗き込み熱演に見入る人が多く出るほどでした。
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ZOU-NO-HANA FUTURESCAPE PROJECT 2023 SPECIAL LIVE “THE PARK”
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象の鼻テラスで行われた、子どもも大人も一緒に楽しめる音楽イベント(12月9日実施)。
実力派バンドメンバー「COSMIC JUNGLE feat.papico,なかの綾」による生演奏ライブも行われました。ボーカルなかの綾の「子育て中の親に音楽を楽しんでもらいたい」という思いから、ライブステージ横には幼児が遊びながら鑑賞できるスペースも設けられ、実際に遊びながら演奏を楽しむ子どもの姿も見られました。
ZOU-NO-HANA FUTURESCAPE PROJECT 2023 SPECIAL LIVE “Choro Club”
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こちらも象の鼻テラスで行われたスペシャルライブ(12月16日実施)。
ブラジルの伝統的な都市型インストゥルメンタル・ミュージック「ショーロ」にインスパイアされながら独自のサウンドを今尚創造し続ける、日本随一のアコースティックブラジル音楽ユニットChoro Clubによる音楽ライブ。
港の風景をバックに奏でる、特別な一夜となりました。
ヨルノヨのプログラムのひとつとして開催された<水の街プロムナード>。水町通りや象の鼻パーク、開港資料館等ふだんから目にしている場所でアートを体験する事で、いつもとは違った横浜の魅力を感じる事ができる10日間となりました。
文:アーツコミッション・ヨコハマ
写真:Hajime Kato
ヨルノヨ・アートプログラム〈水の町プロムナード〉
会期:2023年12月8日(金)ー 17日(日)
会場:水町通り、象の鼻パーク、象の鼻テラスほか
主催:クリエイティブ・ライト・ヨコハマ実行委員会、公益財団法人横浜市芸術文化振興財団
協力:インペリアルギャラリー、株式会社エクスポート、⼤佛次郎記念館、神奈川県⺠ホール、神奈川 近代⽂学館、株式会社産業貿易センター、象の⿐テラス、株式会社中川ケミカル、BALLPARK FANTASIA 、microAction、MAMMUT SPORTS GROUP JAPAN株式会社、株式会社YAIZOO、YOKOHAMA MUSIC HARBOR 2023、横浜開港資料館、横浜マリンタワー、ローマステーション、ワークピア横浜(五十音順)